人口減少社会(広井良典)

AIシミュレーションで、地方分散型が望ましいと導き出された根拠の一つは、全国の都道府県の中で「東京が群を抜いて出生率が低い」という事象でした。つまり、日本のGDPを牽引しているはずの東京が、中長期的には労働人口を減らしGDPを下げる要因になっている。 「Japan as No.1」と呼ばれていた時代は、人口が増えていく=生産や消費のパイが自然と増えていくからこそ、大都市にあらゆるリソースを集中させ経済成長を最優先することがすべての問題を解決してくれるという発想でした。しかし、その成功体験はもはや今の時代のお手本にはならないのです。 私は、人口減少時代は個人がのびのびと自由に多様な幸福を追求すべき時代だと考えています。人生100年時代と言われていますが、”生涯現役”とは何も一生労働を強いられることではないはず。 学生を見ていても、人口減少時代の若者は都心一極集中の負の側面に気づき、ローカル志向を持つ人が増えています。特に地元志向の強い高学歴層が増えたのは、上の世代との明らかな違いでしょう。